2023_01_08

ざっきちょう【雑記帳】

一般には他人が読んでも構わない程度の個人の感想や意見などを記載するもの。

出典: フリー百科事典『Wikipedia

(2020/11/11 15:18 UTC 版)

 

余りに完璧な定義で、見惚れてしまう。

特に、「他人が読んでも構わない程度の」という修飾がとても良いと思う。「一般には」という前置きも、一般には含まれない雑記帳への想像の余地を残してくれていて楽しい。

 

 

『昨年は、何も無かった。

 一昨年は、何も無かった。

 その前のとしも、何も無かった。』

 

『ちかごろの僕の生活には悲劇さえ無い。』

 

そんな風に嘆いていた太宰でさえ、見たらきっと閉口してしまうような生活。そんな中でも、少なからぬものものが、思い出が、感情が、心の中に泡みたいに浮かんでは、消えていく。そのほとんどは、取り留めもないような瑣末なことだけれど、その僅かは、鼻唄、あるいは涙という形で取り留められたりする。この雑記帳は、その鼻唄や涙を、他人が読んでも構わない程度の文章に変換する試みの場として使えたらいい。そしてそれが、誰かに伝わったりしたら、どんなに良いだろう。人間が恋と革命の為に生まれてきたのだとしたら、余りにもささやかなこの醜行が私の革命ですと声の限り叫んで、いつか神様に見つかったらいい。